オークニー家のバラッド
グトルムとその息子ビャルネのこと

ハーコン=ビャルネソンのこと

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それでは歌おう
オークニーのハーコン=ビャルネソンのこと

キリストの良き戦士
恵みあふれる統治者にして
その裁きはいつも公正だった
それで民も彼を愛した


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ハーコン=ビャルネソンは大いに悲しんだ
まっさきに弟スコフトがそむいたので
ロスのヤール位に飽き足らず
クロヴァン家の旗印を欲しがった


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スコフトの追放に続き
家令の醜聞が世をさわがせた
二人続いて金貨を持ち逃げ
これでは主の人格も疑われるというもの


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さらにオークニー家に暗雲が漂う
あの盗っ人アスラク=ポールソンは王に逆らい
大ヤール位とオークニーの島々を取り上げられた
おお、なんという恥さらし!

ハーコン=ビャルネソンは年代記を書かせた
正統なるオークニーの権利を主張するために
だがすでに金庫はからっぽ
修道士たちへの支払いは山羊で済ませた


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ハーコン=ビャルネソンは妃を迎えた
猛き乙女、マルのエウフェミア
ゲール王ダンカンの宮廷で出会い
そして一目惚れ

時まさに主の生誕より1153年
ゲール人の王は破門され
ノルマン人の王国は乱れ
ノルドの諸王は互いに牙を剥きあった


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婚礼の次の週だった
王トルケルが大ヤールたちを召集したのは
ハーコン=ビャルネソンはノルド海を渡った
スヴェリグの王グスタフと戦うため

つるぎの嵐が吹き荒れた
カラスたちは肥え太った
ハーコン=ビャルネソンは必殺の戦棍をふるい
あまたのスヴェリグ戦士を地に倒した


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軍勢がフィンヴェーデンを通ったとき
土地の豪族はハーコン=ビャルネソンを主と呼んだ
クロヴァン家最後の男子
コルベイン=トロンドソンの遺贈だった


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無限につづく深い森
守りは堅し、スヴェリグの大地
ハーコン=ビャルネソンは戦役にあって
友人こそが頼りになると知った

だがスヴェリグ王グスタフは東夷を動員した
続々と西進してくる狂戦士どもの大軍
ついに王トルケルは教会に助けを求め
主の平和がノルドにもたらされた


ハーコン=ビャルネソンは西方諸島へ帰った
叔父のエイステインにフィンヴェーデンを任せて
エウフェミアは男子を産んでいた
スヴェンと名付けられた子はすくすく育った

だがいくさの長いあいだに
二人の仲は冷えきってしまった
留守を任せたデーン人武将マルテ=ニールソンが
妃の寵愛を得ていた


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マルテと妃は駆け落ちをくわだてた
五回も、六回も
そのたびハーコンは引き止めた
二人に赦しを与えさえしたのだ

そうして十数年が過ぎ
再びノルドにいくさの炎があがった
王トルケルと王グスタフが
今度こそ雌雄を決さんと向きあった


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おお、なんという恥さらし!
ハーコン=ビャルネソンの再出征をいいことに
ついに妃エウフェミアは公然と愛人とつるみ始めた
大ヤールの権威はおおいに失墜


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ハーコン=ビャルネソンは新たな知らせを受け取った
スカゲラックに停泊するいくさ船で便りを読んだ
なんと妃がゲール人家令ムルハドにも手を出したという
三股をかけられては男としてさすがにこたえる

ハーコン=ビャルネソンはオーガのごとく戦った
忘れたいことが多すぎて
王に忠実であることを誓いもした
せめて自分だけは誠実でありたい


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いくさの最中
フェローのトルゲル=アスラクソンと
シェトランドのエイリーク=エイリクソンが王に叛逆した
ハーコン=ビャルネソンは彼らを攻め、追放した

オークニー家にあるまじき愚行に情けは無用
盗っ人アスラクの血筋の者は全ての領土を失った
兵を出した弟インゲと叔父エイステインは
報償としてそれぞれフェローとシェトランドを任された


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また故国からの便り
震える手でハーコン=ビャルネソンは封を切った
かさむ軍費に民はもう耐えられぬ、と家令ムルハド
耐えられぬのは俺の方だと大ヤールはつぶやいた

しかし負債はあまりに大きい
それに隣国のゲール王ダンカンが王トルケルの敵に回った
王軍は各地で敗走
スヴェリグ軍とゲール軍が王領を舞台に陣取り合戦

王トルケルも覚悟を決めた
「オークニーよ、国へ帰って兵を養うがよい
いくさが終わってまだ余が生きておれば
その時あらためて会おう!」


泣く泣く西方諸島に戻ったハーコン=ビャルネソン
成長した四人の息子が待っていた
それにひとつの難問も
「誰に大ヤール位を継がせるか?」


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大げさなスヴェン
謹厳実直なヘルゲ
細かい事は気にしないビャルネ
武勇のハラルド

ハーコン=ビャルネソンは悩みに悩んだ
昔からオークニー家は均分相続
自分はそれで苦労した
誰かひとりに所領を集めたい

長男スヴェン=ハーコンソンが選ばれた
彼は高貴なるユングリング家の娘をめとった
聖王オーラヴの曾孫グドリッド=エイステンスドッティル
若い二人は国中を喜びで満たした


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婚礼の席で四男ハラルドは父親に訴えた
「父上、わたくしには領土を治める力があります
どうかロス領を任せてはいただけませんか?」
ハーコン=ビャルネソンは首をふった


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「前から感じていたのだが
どうやらおまえはわたしの子ではない気がする
あきらめよ、そしてここを去れ!」
ハラルドは嘆き悲しみ、そして宮廷を去った


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スヴェリグ王グスタフが王トルケルを下し
ノルドでの戦乱も終わりを告げたころ
妃エウフェミアが世を去った
かぐわしい薔薇に包まれ葬られた

世の人々よ、留意せよ!
一目惚れして好きあった仲なれど
ボタンの掛け違いで憎みあい
死ねばほっとするのはあまりに悲しい


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王トルケルも天に召された
それでハーコン=ビャルネソンは誓約から解放された
海のかなたノルドでの戦役は身に重く
このたびはブリテンに目を転じることにした


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スコットランドではゲール人の王統がとだえ
ノルマン人の少年王ウィリアムが推戴されていた
人々の信頼あつい未来の賢王
ハーコン=ビャルネソンは王ウィリアムに臣従した


そのころ息子たちが会合を持った
スヴェンにヘルゲにビャルネ
私生児オーダンがこれに加わった
父親には秘密のあぶない話

「父上はオークニー伝統の均分相続を反古にされた」
「そろそろ退いていただいてはどうか?」
「もう待てぬ、待てぬぞ!」
「オーダン、おまえが手を下せ。かならず褒美は与えよう」


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ぎらり、きらめく鋼の刃
喉をひと突き
ハーコン=ビャルネソンは横たわった
ストラスクライドの戦陣で

風吹きすさぶアイオナの島
ハーコン=ビャルネソンは手厚く葬られた
息子たちは大いに悲しんだ
そして顔を見合わせ、にんまり笑った

その裁きはいつも公正だった
でも息子たちはそうは思わなかった
彼らは尊い父親の血を流した
こんどは彼らがお互いに血を流す番


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西方諸島の大ヤール
ハーコン=ビャルネソンの話はこれでおしまい



スヴェン=ハーコンソンのこと?

オークニー家のバラッド


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