バイエルンの三本の矢

ぬるゲーマーです。おいしそうな響きのバイエルン公でプレイしました。まったり暮らそうと思ったのですが、主君がいけ好かないフランス野郎だったのでドイツ王座強奪を目指します。

  • バージョン:日本語版を1.05化
  • シナリオ:百年戦争(1337年)
  • 難易度:普通
  • 攻撃性:普通
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父の夢

1337年、有力貴族ヴィッテルスバッハ家が治めるニーダーバイエルンの地。公爵ハインリヒは、息子とともにドナウの川辺を歩いていた。対岸では広々とした畑が緩やかな地平線を描いている。

「良く見ておきなさい、ヨハン。お前はいつかあちら側の人間になるのだから」

ドナウを挟んだ対岸はオーバーバイエルン、ドイツ王Aymondの住む地だ。Aymondがドイツ王を名乗るのはいまだに納得できない。選択制による王位継承の会議の中で、微妙な力学の打算の結果ではある。しかしひとつ確かなことは、Aymondの両親はともに国外の出身でありAymond自身もフランス風の生活を好んでいることだ。これがハインリヒには大いに気に入らない。

「お前はいつかこのドナウを越えるんだ」

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ハインリヒにはエベルハルトという私生児がいた。彼が自分の危うい立場に気づいたときを思うと心が痛む。だがこれも神が与えた命であり試練だ。今のところ彼はヨハンと仲良く遊んでいる。

ハインリヒは王位への野望を心に抑えて領土の発展に尽くした。領民とともに汗を流す暮らしの中、初めての女の子リウトガルトの誕生はこの上無い喜びであったが、3才で神に召される。彼女の夭折にひどく落ち込んだハインリヒは部屋に篭ることが多くなり、領内は重い空気に包まれた。だが希望はある。同じ年、三男の妊娠が判明、無事に出生したのである。彼はジークハルトと名づけられた。幼いながらに知才を感じさせる顔をしていた。

1344年、三人の息子たちに囲まれてハインリヒは最後の時を迎えようとしていた。「体が弱いヨハン、私子としての運命を背負うエベルハルト、そしてあまりに幼いジークハルト……。」様々な思いが胸をよぎったが、残せた言葉は一言だけだった。

「王位を」

兄弟の絆

厳かな葬儀が行われ、長兄ヨハンが新たなバイエルン公となった。彼もまた野心を見せることなく領地の開発に力を注いだ。結果としてニーダーバイエルン及びバッサウの街は大いに賑わい、国庫は潤った。豊かで平和な統治が無事始まった、と誰もが思ったそのとき、再びヴィッテルスバッハ家を悲劇が襲う。ヨハンが原因不明の熱病に冒され、そのまま帰らぬ人となったのである。1947年、まだ18才という若すぎる死。わずか3年の統治だった。

「すまない、だがお前たちなら……父の夢を……」

慌しい葬儀の後、ヴィッテルスバッハ家を継いだのはまだ6才のジークハルトであった。一部の家臣からはあまりに若すぎることを理由に13才のエベルハルトを推す声もあったが、やはり私生児という出自への反対は強固なものだった。こうして、重すぎる称号を継承した弟と、私生児ゆえに周囲から疎まれる兄の孤独な戦いがはじまったのである。

相次ぐ不幸に、家臣たちの危機感は大変なものであった。幼い兄弟へのプレッシャーは日に日に強まり、彼らは次第に追い詰められていく。エベルハルトが狂信的な聖職者に成長し、祈りの日々を暮らしていたのも、家臣たちの目をかわすためだったのだろうか。

「兄さん、最近家の者がみな怖い目をしているよ」
「心配するな、何があってもお前は俺が守る。覚えているか、私の血を良く思わない者たちが私を追放しようとしたときのことを。お前はそのとき必死に私をかばってくれた。だから私もお前を守る」

暗躍

そんな中、突如ドイツ王Aymondが、王位継承制度を選択制から準長子制に変更した。自身の息子Amedeeに継承させる意図のようだ。しかしこれはヴィッテルスバッハ家のふたりにとって大変な奇貨だった。孤独に身を震わせるふたりが、無き父の念願であったドイツ王位を奪うことで、救われようと願うことを、誰が咎められようか。

彼らはAymondの子供が他にBlancheという娘しかいないことを確認し、またBlancheがフランスのヴェルダン伯の息子Edouardの下へ嫁に行ったことを突き止めた。娘の嫁入り先もフランスか、やはりいけ好かない野郎だ。そして修羅の道が始まる。

1353年某日、Edouardを暗殺。間髪入れずにエベルハルトがBlancheを妻に迎える。そして1354年、Amedeeを暗殺。
同じ年Blancheが男児ベルンハルトを出産(この子の父はEdouardであるが、気にしない)。これでAymondの継承者、つまり次ドイツ王がベルンハルトになったのである。お膳立てはすべて整った。

「あなたは私を利用しているのね。男の子が無事生まれたし、私はもう用済み?」
「たしかに君に近づいた理由は最初は不純なものだった。だが、今は違う。すべて終わったら、新しい地で二人で静かに暮らそう」
「……。すべてが終わったら、ね。私、うわさに聞くデンマークで暮らしたいわ」

夢を継ぐ者

この一連の工作で失ったものも大きかった。ジークハルトの威信も、そして信仰も地に落ち、彼の社交界での立場は永遠に失われた。だが、彼は気にしていなかった。そんなことはもうすぐ意味が無くなるのだ。

「上々だな、ジークハルト。これでいずれドイツ王位はヴィッテルスバッハ家のものだ」
「いずれじゃダメなんだよ、兄さん。ベルンハルトが先にドイツ王を継承してしまうと、バイエルン公を継ぐのが難しくなってしまう。兄さん、ボクは覚悟はできてるよ」

領内に選択制を導入し、ベルンハルトにパッサウ伯の称号を与える。これでバイエルン公の継承者もベルンハルトになった。

そして1355年11月8日の夜――

「ある人から頼まれてなあ。あんたにうらみは無いが、まあ悪く思わないでくれや。貴族ってのも大変だな」
「待っていたよ。これでボクたちの戦いが終わるんだ。やっと父さんとヨハン兄さんに会えるよ」
「?! なんだか知らねえが、覚悟の上ってことか。結構なこった! じゃあいくぜ!」

次の日の朝、自室にて殺害されたバイエルン公ジークハルトが発見される。城の警備体制から見て内通者がいたとしか考えられなかったが、その全容が明らかにされることはなかった。若干1歳のベルンハルトがバイエルン公を継ぐ。

「あなた! まさか……」
「何も言うな。これが私たちの誓いだったんだ」
「あなた……」

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同年12月18日、ドイツ王Aymond崩御。孫のベルンハルトが王位を継承した。ヴィッテルスバッハ家の三代にわたる夢は、ここに達成されたのだった。

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- Fin -

あとがき

君主は自分を暗殺できないことにお膳立てが整った後で気づいて難儀しました。ジークハルトの暗殺のために一時期バッサウ伯でプレイしています。ジークハルトはなかなかの秀才で、こんな時代・境遇でなければ立派な君主として民を導いたことでしょう。

その後、エベルハルトは妻とともにデンマーク地方の公領に移り住み、教区司教として祈りの日々を送ったとのことです。


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Last-modified: 2007-03-12 (月) 00:00:00 (3850d)